落ち葉が散り敷いた晩秋の川辺で、あるいは冬枯れた森の中でひと抱えの流木や枯れ枝を拾い集めて、細かく折り砕いた焚き付けに火を移せば、そこには赤々と燃える焚き火が出現します。人類が火を発見してから数十万年の間、営々として繰り返されて来た「焚き火」。このもっともシンプルな行為が私たちに暖をとらせ、様々な食材の調理を可能にし、害獣から身を守る役割を果たしてきたのです。
八ヶ岳アウトドア・アクティヴィティーズの「焚き火カフェ」はそんな悠久の時に思いを馳せながら、ひとつの小さな焚き火をガイドとゲストが一緒になって熾(おこ)し、ひたすらそれを囲んで過ごすプログラムです。BGMはすぐ脇を流れる渓流のせせらぎや、梢を渡る風の音、時折聞こえる野鳥や鹿の鳴き声。そして薪のはぜる音だけが静かな森の中に響きます。

日常生活の中から直火を焚く経験が消えて久しい現代。エネルギー資源の移り変わり、生活スタイルの変化に伴い、直に火を眺め、暖をとるという行為がどこか贅沢なものになってしまった今日。そんな貴重ともいえる行為を、大人の新たな自然の楽しみ方としてぜひご体験ください。犬連れの方やファミリーも大歓迎。直火を扱った経験のない子供さんにとっても貴重な経験となるはずです。

萌木の村の一角にある事務所で受付を済ませたら、いよいよプログラムスタートです。
しばらくは相の原フットパスと呼ばれる林間の遊歩道を歩きます。そこではガイドのネイチャーガイディングがメインテーマ。それぞれのガイドとっておきの話を楽しみます。

川へ至る秘密の小径を降りると、いよいよ薪拾いが始まります。それぞれ片手いっぱいの薪を集めた頃に開催場所の河原に到着。さっそく火を起こしましょう。
枝先の細い小枝から徐々に太い枝へと火を移してゆくと、やがて青白い煙とともに炎が立ち上がります。
ここからは細心の注意を払って火を大きくしてゆきます。
炎が安定し、熾(お)きができたらもうひと安心。焼きアミを載せたりパーコレーターに水を汲んでコーヒーの用意を始めましょう。あとはそれぞれ火のそばに腰を下ろすだけです。

ひとつの焚き火をみんなで囲めば、そこにはひとときの親密なコミュニティができあがります。そこでは焼きマシュマロを楽しみながらガイドの自然体験を聞いたり、パーコレーターで入れたコーヒーやホットドリンクを楽しんだり、ホテルメイドのランチボックスを開けてホットサンドを焼いてみたり、時には何もせずただじっと炎を眺めたりと、もっともシンプルに自然を楽しむ時間が流れます。

かたわらを流れる水の表に紅葉した木の葉がくるくると弧を描いて流れる晩秋から初冬。雪解けの岸辺に蕗の薹が萌え出す早春。こんな時期が「焚き火カフェ」を楽しむのには最適の季節です。