八ケ岳。

「ピークが八つあるからその名前が付いたのですか?」とよく聞かれますが、そうではありません。

八ケ岳は南北に約30kmに渡って連なり、主立ったピークは23を数えます。「八百万(やおよろず)」という古語にあるように、「八」という言葉には「たくさん」の意味があり、そこから「八ケ岳」の名前が来たと言われています。

名前の由来については他にも諸説がありますが、私は「八百万」説が好きです。そこに、昔の人々の山への視線が感じられるからです。

車社会の今は、風光明媚な場所に来てもじっくりとその風景を眺めるということが少ないような気がします。
しかし、自分の脚で歩いていた時代は、何時間歩いても山が見えているので人々はその山についていろいろと思いを巡らせたのでしょう。
いったいこの山にはいくつの山頂があるのか、数えようとした人もきっといたのでしょう。まだ地図もなく登山ルートも確立していない時代では、それは簡単なことではありません。
そして、「数えられないくらいたくさんあるのなら八百万」そして誰ともなく「八ケ岳」と呼ぶようになったのかもしれません。

トレッキングやハイキングの魅力は、車や自転車など、スピードの出る乗り物に乗っていては見えないものが見えることです。
足下の小さな花々、木々の樹皮の美しさ、山の形や山肌の色の移り変わり、森のにおいや風の感触。
そして、昔の人々の自然への視線に思いを馳せてみたりするのも楽しいものです。
今の時期、花は少ないですが、虫も少なく、体を動かすには調度いい気候なのでハイキングやトレッキングにもってこいの季節と言えます。